約3カ月、待ちに待った、石井管楽器さんによるセミアーリーエルクハート期のバックスペシャルチューンが入荷いたしましたので、ご紹介◎
前回同様、管内洗浄、バルブ孔位置調整、軟物交換などといった所謂オーバーホールに加え、個体的な問題点を修正するための、あらゆるノウハウを詰め込んでいただきました。
今回の個体(35万番台)については、あまり使用された形跡がなく、非常に状態が良かったのですが、どうもどこかに大きなストレスがかかっているのか、鳴りがぐぐっと抑え込まれるような、吹いていて、すごくしんどい印象がありました。
しかし、音はとても音圧感があり、のびやかで、素性の良い楽器なのではないかと感じました。
具体的なチューン内容としては、
1.ベルとマウスパイプを脱着し、マウスパイプを社外製の物へ交換(かなり有名どころですが公にできないため、お問い合わせください。個別にお教えします)
2.主管の全バラシ、再組立て。
3.ウォーターキイバネをフック式の物に交換(前回のGPはカール式のもの)。これにより、カール式よりも抵抗が増す。
4.ウォーターキイコルクをラバーコルクのやわらかめのものに。
5.ピストンフェルト類をゴムからフェルトに。前回は純正のゴムでしたが、今回は個体に合わせて石井さんオリジナルのフェルトになっています。
6.ピストンボタンを夜光貝に
7.各接合部を組み上げる際に、長年の経験とノウハウから、楽器のバランスを取りながら半田の入れる量などを調整。
となります。
チューンといっても、何か気をてらったような改造をほどこすのではなく、あくまでも、バックの良さを最大限に引き出し、現場での使用で最高のパフォーマンスを発揮するための道具としての価値を高める方向性です。
バックが持つルックスの美しさもそのままに、セミアーリーの特徴であるスチールワイヤーベルが放つ往年のバックサウンドを現役バリバリの鳴りで体感できるすばらしいトランペットです。
フック式のバネはバックの純正と形状はほぼ同じものになります。
また、この時期のバックでウォーターキイの位置が比較的下についている個体は良い物が多いという話を聞いたことがありますが、こちらの個体もかなり低い位置についていました。
もしかすると、主管のR角自体の個体差によるものなのかもしれません。
光の当たり方によって、緑色に輝く夜光貝。非常に上品で上質な雰囲気が、とても美しいです。
マウスパイプの交換により、音程が非常に良くなり、ツボが明瞭になります。設計はバック25パイプのそれそのものですので、バック本来の音色やキャラクターを崩すことなく、アップグレードされます。
このどっしりとしたバルブケーシングが、個人的にこの時代のバックの魅力です。
まだレーザーじゃない刻印。しっかりと彫られていて、とても雰囲気があります。
今回のオーバーホールとチューンによって、元々持っていた音の伸びやかさと、音圧感はそのままに、ストレスなくスッと抜けていき、息の緩急に合わせて音がリニアに変化するとても気持ちの良い吹奏感に生まれ変わりました。
音程も非常に取りやすく、ツボが明瞭で、GPらしい豊かな倍音と美しい響きを堪能できます。
スチールワイヤーベルの特徴でもある、音の立ち上がのプルンとした感触も存分に味わえる個体です。
今回の個体は完成前にご予約が入り、売約済みとなってしまいました。
このようなトラスト×石井管楽器によるスペシャルチューンのセミアーリーGPをご希望される方は、是非お問い合わせくださいませ。
ベースとなる個体をトラストで見つけ次第、石井さんに依頼し、完成させます。
また、ご自身のお持ちのバックに同様の仕様にしてみたい方は、是非石井管楽器さんへご相談くださいませ。
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manabu (木曜日, 04 11月 2021 19:42)
この仕様はGP後がけでこの値段ですか?
店主 (木曜日, 04 11月 2021 19:55)
はい!こちらのこの状態でのお値段になります。
店主 (木曜日, 04 11月 2021 19:57)
尚、お持ちのバックをこの仕様にされる場合は当然ながらもっとお安くなります。
こちらの商品はベースとなった本体の価格が含まれているということです。
manabu (金曜日, 05 11月 2021 05:35)
19万番代を使用中で大変興味があります。ご相談やお願いは、この欄でするのですか?
manabu (金曜日, 05 11月 2021)
すみません。HPの方の問い合わせにですよね。
店主 (金曜日, 05 11月 2021 07:55)
はい!^_^
ぜひぜひ!お待ちしております。