トロンボーンマウスピースレビュー その5

今回はえりすけさんからいただいたレビューを投稿します!
とても丁寧に書いていただきましたのでぜひご覧ください!



AR resonance 試奏感想


1.お名前:HN、匿名可

 えりすけ/むすひ(ツイッター musuhi8492

(本アカはerisuke01であるが、先に提示した方が音楽趣味アカウントであるため)


2.使用楽器・マウスピース

 試奏に使用した楽器

 B&S  MS27-KL (マウスパイプはゴールドを使用)

 マウスピース

 AYAMAHADouglas Yeo

 B     THROJATHROJA BASS(おそらくJK チースリックモデルと近似)

 の以上2種類を使用した。以下ABと記載する。


3 .経験年数

 今年で13年目ほど


4.自身のマウスピースとの比較/5.フリーの感想

  長くなってしまうが、どのような観点から比較するのかを明確にするため、個人的な感覚

 であるが、メインで使用しているマウスピースの特徴を述べたのち、AR  resonanceとの試

 奏時における比較基準を設定、比較結果を述べていくことにする。


 Aはカップ、バックボア共に大きく深い。リムは薄めのマウスピースである。

 比較的内径が大きい、外観通りのヘビータイプマウスピースである。外観からはあまり想像

 できないが、上下の跳躍はしやすく、抵抗感が少なく自由に吹けるマウスピースの一つであ

 る。音色は暗め。


  Aの短所は、その自由性から、コントロールが難しいことにある。単純にサ

 イズが大きい為、簡単に息が入るが、適当に息を入れても発音可能であることも意味してい

 る。そのため、音程や綺麗な発音のコントロールする技術獲得に時間がかかるマウスピー

 スであると思う。

  この部分に関しては、Aの特徴というよりも、大き目のマウスピースそのものの特徴であ

 ると思われ、以前試奏したシルキーの60番でも同様の感覚を得た。奏者の力量によって良く

 も悪くもなるマウスピースである。

 余談であるが、三菱の鉛筆が簡単に通るサイズである。(標準サイズと言われるワンハーフ

 では入らないことが多い)


 Bは、Aと比べてライトウェイトマウスピースである。内径はAと比べて小さく(それで

 も標準的ないわゆる1ハーフと比べると大きい)、またAと比べて標準的な(ワンハーフ程

 度)リム幅である。バックボアはAと同等程度に感じる。

  Aよりも内径は小さくリム幅も大きいがバックボアは大きいマウスピースであると。

 ライトウェイトということから音が軽くなる(人によっては明るめと称するかも知れない)

 が操作性は良好(Aと比べて一回り小さい為、単純比較ではBの方が操作しやすいのは当たり

 前かもしれないことに注意が必要だろう。)で、吹く際にくっとくる抵抗を利用して吹く

 と良い。

  音色は明るめで跳躍もしやすいマウスピースであると言えるだろう。

 こちらも日本国内で流通している鉛筆(三菱)が普通に通る


  Bの短所は、息の入れ方にややクセがあり、先述の抵抗に気がつかないまま鳴らすと、音が

 ペラペラになる。「マウスパイプに直接通す」感じと言えば伝わりやすいか。

  Aと比べると小さいが、それでもバストロンボーンという楽器でよく使われているであろ

 うサイズ(ワンハーフ)と比べると、内径は比較的大きい為、大きさにかまけた吹き方をす

 ると痛い目を見るマウスピースであると思う。


 AR resonance試奏における判断基準 

  メインとして使用しているABを代替または更新候補となり得るかどうか。

 つまり、ABの長所を有し、短所を解決できること。が主な判断基準となる。

 

  使用したARのトップはBVL28.8)およびBL(28.4)を、バックボアは1L()2L(中)

 GR1(小)を使用した。BVLBLは、愛用しているABとの近似サイズである為、比較の

 ためにこの二つのみをあえて選んだ。


  基本的にARの音色は、ヘビーウェイトのような見た目から、暗めの音色だと思われるが明

 るめの音色である。しかし、単純に音色の明るさだけで言えば、A→AR resonance→Bの順

 番で音色は明るくなる。

  よって、ライトウェイトのような明るさではなく、ライトウェイト寄りのレギュラーとい

 うイメージが最適かもしれない。

  試奏時には、Bと同じように、「くっ」とくる抵抗を感じた。演奏する際にはこの抵抗を支

 えにすると良い響きになるマウスピースだと思う。

  3種のバックボアのうち、1L→2L→GR1の順番で抵抗がはっきりしてくる。


 BVL。抵抗感はBLと比べると弱めである。Aと近似した吹奏感がある。

  BVL+1Lは、非常に開放的な吹奏感であることが特徴である。今回試奏させて頂いたモデ

 ルの中で最も大きいトップと最も大きいバックボアの組合わせである。この組合わせが最も

 Aに近い。抵抗感は最も弱く、今回の試奏では抵抗の存在に気がつくまでに少し時間がかか

 った。抵抗に気がつくことができれば、その抵抗に従いながら吹くとかなり演奏しやすかっ

 た。ペダル音域並びに上の音域も比較的出しやすい。

 余談であるが、(私はおそらく所謂アンブシュアの超高位置タイプhttps://basilkritzer.jp/archives/4855.htmlであり、引用先にある超高位置タイプの吹き方を参考にした。)


    BVL +2Lは、1Lとほぼ同じ吹奏感である。やや抵抗が増えたがそれほど大きな違いでは

 ない。ペダル音域も上の音域も鳴らせるが、こちらの方が低音域は鳴らしやすいと思った。

 1Lでは大きすぎるという時に選ぶとよい。


     BVL+GR1は、最も抵抗感のある組合わせである(人によっては存在感のある抵抗と称す

 るかもしれない)。大きめのサイズかつ抵抗感のある拭き心地を求める場合には非常に良い

 セッティングである。この組み合わせは、抵抗に従って吹くことで先述のバックボアの組み

 合わせよりも音程などのコントロールが容易である。また、ペダルトーンも抵抗を利用して

 比較的楽に発音する事が可能。

  個人的にはAの代替または更新候補として挙げられる。


 BL。抵抗感はBVLと異なり、はっきりと感じ取れる。音色はA寄りの、抵抗はBに近い。

  内径的に吹いた感じはAよりほんの少し小さいかなという感じである。

  BL+1Lは、BVL+GR1と同等かそれ以上の代替または更新候補である。トップ側で抵抗感を

 強めながら、バックボアで息抜けの良さを実現しているためである。

  音の跳躍、隣り合う音への移り変わりの際に、抵抗に寄り添って移動するのが最も良い。

 ペダルトーンも同様。

  BL+2LBVLとほぼ同じ感想である。

  BL+GR1は今回の試奏で行った組み合わせの中で最も抵抗が強い組み合わせになった。

 Aとはほぼ別のマウスピースという感覚になり。Bに最も近づいたセッティングと言える。こ

 ちらはこちらで、上下の跳躍、横の移動、ペダルトーンの出し方がBVLとは異なるがさほど

 大きな違いは無い。この辺りは好みで選ぶとよいと思う。


6.どんな人にお勧めか

 レギュラーまたはライトウェイト志向の音を求める方、

 現状のマウスピースの吹奏感に、もう少し抵抗感を加えたい方。

 自分好みの吹奏感が分からない方。


以上の方にお勧めできるマウスピースだと思われる。バストロにおいては、少なくともトップとバックボアの組み合わせから、非常に多岐にわたる組み合わせを試すことができる。そのため、自分好みの吹奏感を見つける一助になるのは確かであると思う。



ここから先は、余談である。

 AR resonanceのシャンクはとても薄いため、取り扱いに最新の注意を払った方がよい。

所謂バックやヤマハ、グレイゴといった有名メーカー製と比べると、ARのシャンクの薄さがわかる。

 また、トップとバックボアを時計回りで取り付けるため、「マウスピースを回しながら取り外す」とトップだけ外れてしまうことがあるため、気をつける必要がある。

 BSの他にも、ヤマハYBL822Gを所有しているが、ARはヤマハにはしっかりとはまるが、BSではしっかりとはまりきらず、少しがたつく。

 これはBSのマウスパイプ側のテーパーが、おそらく一般的なテーパーと異なる為であり、AR側の問題ではない。事実、ヤマハ製マウスピースを挿してもぐらついた。

 しっかりと押し込むなどすればぐらつかないのでそこまで気にする必要はないのかもしれない。もしも気になるのであれば、試奏後に、マウスパイプに合わせてシャンク調整をお願いする方がいいだろう。しかしバックボアの管厚から難しい可能性もあるため、必ず試奏してから購入することを強く推奨する。


引用資料

バジル・クリッツァーのブログ バジル先生のココロとカラダの相談室

2015年、825投稿記事より

2020年 522日 1621分 閲覧)