オールドバックバルブガイド再び

前回、オールドバックの真鍮製バルブガイドについて書きましたが、再度深く検証すべく、石井管楽器工房様にご相談しながら加工してみました。

 

目的としては、セミアーリー期のオリジナルの真鍮製を再現したい。

それが達成できれば、所有しているいくつかの他のバックにもオリジナルのそれに近い、ほどよい吹奏感と音色の真鍮製を使用できるからです。

 

まず、左上から右へ順にプラスチック、現行バック真鍮製、それをセミアーリーエルクハート期の真鍮製と同じ形状に加工したもの、加工元のオリジナル。左下がBUZZ製の真鍮製、右がBUZZをセミアーリーと同じ形状に加工したものです。

 

経緯としては、まずは現行品の吹奏感が重く、見た目がどう見てもゴツイので、BUZZ製を購入。しかし、それでもまだ抵抗感が強く、音色も高倍音が乗りやすく明るい傾向に。

そこで、現行品をセミアーリーのオリジナルを元に加工してもらうも、今度は吹奏感も音色も軽くなりすぎ、音も明るすぎに。

石井さん曰く、現行のバックの素材が鋳造品(いわゆる、鋳物ですね)であり、オリジナルが鍛造品のため、その差が出ているかもしれないと。

そこで、BUZZの中島楽器に問い合わせたところ、BUZZ製は鍛造品と判明。これを基にセミアーリーと同じ形状に加工してもらいました。

ただし、BUZZ製はご覧の通り、最初からT字部分に面取りがなされているので、まったく同じ形状にすることはできませんでした。

 

しかし吹奏感はかなり近づき、吹きやすさには遜色なし。

音色はまだやや高倍音が乗りやすいですが、これは経年や表面の酸化を様子見なければとなりました。

 

今のところ結論としては、やはり形状や比重が近ければ、近い抵抗感にすることは可能で、あとは酸化の具合などによるところが大きいのかなと。

それでも、セミアーリーと差が出れば、もはや真鍮そのものの材質の違いや経年による何かが影響しており、そこから研究して製作しなければ再現することは不可能となるかもしれません・・・。

 

まあこれほど小さなパーツですから、どこで妥協するかとしか言えないのですが、それにしても、改めて本当に大きな影響を及ぼすなあと感心しました。

 

とにかくこれを最初からプラスチックに取り換えられてしまっていた16万番台のストラッドに使用することにしました。

 

もし同じようなお悩みをお持ちの方がいらっしゃれば、ご相談ください。

 

ただし、加工の元となるBUZZ製のガイドと加工費を合わせると、2万円近くなります、、、。

 

こんなお声が多ければ、量産できるのですが。

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コメント: 6
  • #1

    北見 (水曜日, 10 4月 2019 20:56)

    あのー、プラスチックと真鍮は吹いてみて劇的に変化が分かりますが、真鍮の鍛造と鋳造の違いは良く分かりません。8万番代のバック1本は初めから真鍮で、専門店で買ったバルブガイド、BUZZのバルブガイドをそれぞれ真鍮にした最近の180モデル3本で使用しています。190モデル1本は初めから真鍮です。鈍感なんですね、私が�。

  • #2

    山本(店主) (木曜日, 11 4月 2019 08:06)

    石井さんが仰っていたのですが、同じ条件で比較をしても、吹き手が違えばその差が出たり出なかったりすることがあるそうです。

    プロの方が吹くと、安い楽器もとても楽そうに良い音で鳴らされるのを何度か見たことがあります。
    もしかすると、上手な方ほど、細かいことは気にならないのかもしれません、、。

    よろしければ、どれか1本の楽器に、順番にそれぞれのガイドを交換しながら試してみてください。
    きっと、なにかの変化は感じられるのではないでしょうか。

  • #3

    府高大祐 (金曜日, 30 12月 2022 02:23)

    現在、セルマーのバルブガイドを真鍮製にしたいと考えているのですがワンオフ作成することは出来るのでしょうか。

  • #4

    山本(店主) (金曜日, 30 12月 2022 05:12)

    モデルの詳細を教えていただければ確認してみます!

  • #5

    府高大祐 (水曜日, 25 1月 2023 00:33)

    返信が遅くすみません。
    セルマーピッコロトランペット の465という機種です。4バルブになります。

  • #6

    店主 (水曜日, 25 1月 2023 08:45)

    一度本体ごとお預かりできれば作成可能かと思われます。

    よろしくお願いいたします。